2009年2月1〜4日 インドネシア・スラバヤ市救急救助体制調査報告 |
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1 実施期間 平成21年2月1日(日)〜平成21年2月4日(水) 2 場 所 インドネシア共和国東ジャワ州スラバヤ市
@ スラバヤ市における緊急対応システムの現状 交通事故発生後、まず警察が通報を受け出場する。 負傷者は一般的には通りがかった人が救護し病院まで搬送することがよく行われている。 事故現場へ救急車は、市民から通報を受けた場合や警察から要請があった場合に病院より出場する。 車内閉じ込め等があり病院救急隊でも救出困難な状況で初めて消防署に応援要請が入る。 一般市民からのそれぞれの通報方法は警察199番、病院救急車118番、消防署113番と確立されている。 概算では事故発生から20分近く経過して現場に警察、救急隊、消防隊が揃うことになり救出作業が必要な負傷者を外傷におけるいわゆるゴールデンタイム(事故発生から1時間以内)に手術室へ搬送することはほぼ不可能であると推定できる。 これを裏付けるように州立病院医師のPuruhito教授より搬送途上に重傷者の30%が死亡するとの報告を受けた。 (写真は、救急資機材)
A スラバヤ市の交通事故 Puruhito教授によると当市における交通事故の割合は多くなく事故のデーター管理は警察が行っているとのこと。 他の関係者に聞き取りをしてもいずれも交通事故の件数は多くないとの返答であった。 これは交通事故の件数の計上の仕方に日本とでは違いがあるためでないかと推測される。 (通報義務無し) また、少し古いデーターであるがPuruhito教授が1992年「薬理と臨床」に投稿されたデーターによると心胸部外傷の大多数は交通事故が原因となっていると報告されている。 (写真は、救急訓練風景)
B消防本部の役割 一般市民は基本的に、消防隊は火を消すことしかできないと考えており、火災以外で交通事故やその他の災害対応に通報を受けることはあまりない。 またスラバヤ消防本部の幹部は他の部局からの異動であり消防のプロフェッショナルは存在しない。 新規の消防隊員はスラバヤ西消防署に隣接する訓練所で合計3週間の訓練を受けるが、救急に関しての訓練は無い。 C消防隊の救助資機材 スラバヤ市内では唯一の救助資機材積載車は本部と隣接する中央消防署に配置。 各資機材とも経年劣化は認められるが、十分救助現場で使用可能な状態で維持管理されており隊員も作動方法について理解していた。 しかし、主な使用場所が火災現場のため十分にその能力を発揮できていない。 D病院救急車の役割 州立病院には6台の救急車があり、研修を受けた看護師がparamedicの標識を着け乗車している。 主な活動は病院間搬送と急病の対応であり、前述の通り災害現場からの要請は警察からが多い。 また通報を受けてから出場するまでに時間を要する場合があることやカバーする範囲が広いこともあり数分で現場に到着は出来ない。 E病院救急車の資機材 日本の高規格救急車と同等以上の資機材を積載している救急車も存在する。 救急車の隊員は院内でGELS(general emergency life support:日本ではACLS又はICLSに外傷初期処置を加えた内容)を受講したparamedicが乗車。 6 今後の展開 @ パイロットケースとして交通事故の閉じこめ事案等が発生すれば消防救助隊、救急隊が同時に現場出場。 A 1年後にあらゆる災害対応可能な24時間体制の救急隊、救助隊の本格運用開始を目標とする。 B将来的には消防署で救急隊も待機し、消防隊員も救急隊員として乗車する。 Cその場合に消防隊員への救急指導は病院救急医が行う。 D支援が確定すれば支援方法、内容及び準備する資材等をメールで双方確認。 E スラバヤ市の窓口は協力局のAntiek Sugiharitさんが担当。実務担当は市長補佐が行う。 (写真は、救助資機材)
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