インドネシア先行調査報告


2007年9月24日〜28日

1 経緯
 インドネシア共和国・南カリマンタン州に調査及び調整協議に行って参りましたのでご報告します。

 昨年、JPRは兵庫県のご配慮でザンビアに救急車・消防車を計9台贈ることが出来ました。

 しかし、まだ数台の消防車両が残り、JPRの力では如何ともする事が出来ず難渋している時、兵庫県から
紹介して頂いた団体が、「インドネシアに贈るので譲って頂けますか?」との話しがあり、寄贈することとな
りました。

 しかし、紹介頂いた団体代表より、「寄贈するだけではなく、JPRの技術支援・指導が重要であり、是非
インドネシアに協力願いたい」とのご依頼もあり、今回、南カリマンタン州に調査及び調整協議に行くことに
なったしだいです。

2 南カリマンタン州
 カリマンタン島は、良く知られる首都ジャカルタのあるジャワ島の北側ある島で4分の3がインドネシア で、残りがマレーシアとブルネイがあり、マレーシア側ではボルネオと言います。
 島と言っても日本の本州の3倍もあります。
 インドネシア側には東・西・中部の各州と南カリマンタン州の4州でなってい
ます。

 今回訪問した南カリマンタン州の州都バンジャラマシン市です。
3 アクセス
 11時に関空からバリ島経由で首都ジャカルタに到着したのは現地時間で19
時過ぎでした。

 このジャカルタで、神戸インドネシア友好協会会長の山田氏と合流し、翌朝8
時のフライトでバンジャルマシンに11時頃到着しましたが、ジャカルタとの時
差が1時間あるため実際のフライト時間は1時間40分でした。
4 南カリマンタン州・バンジャラマシン市到着
 バンジャラマシン空港に到着すると神戸インドネシア友好協会会長の山田氏の友人で27年間インドネシア在住しスラバヤ市から通訳のために駆けつけて頂いた糸賀氏と合流したところに同州の開発課 長が公用車で迎えに来てくれました。
 空港から約30分で南カリマンタン州庁舎に12時に到着、1本のタバコを吸う間も無くそのまま会議場 に案内されると、コの字形の会議机には既に州の高官が約30名着席し待機していました。
 数分後、私より若干小柄な副知事が入場されました。

5 南カリマンタン州副知事とJPR会長の協議
 インドネシアの州副知事は、日本のように選挙後副知事を任命するのではなく、州知事と副知事のセ ットで選挙に立候
補するそうです。

 先ず、副知事から歓迎のコメントと南カリマンタン州での災害は山火事と洪水が多く、また神戸市で阪神・淡路大震災を
経験したJPR会長の経験を当地に生かせて頂けるかJPRの活動内容を伺いたいとのご挨拶がありました。

 引き続き、JPR会長として「日本の消防・救急体制とJPRの活動」についてご説明しました。
 その中で「市民の命を一人でも多く救うためには救急救助体制の構築が非常に重要で、このシステムはアジアでも数カ国
しか無く、もちろん首都ジャカルタでも有りません。

 インドネシアでモデルとなる救急 救助体制をこの南カリマンタン州で構築することにJPRはご協力します」とコメン
トすると会場から拍手が起こり、救急救助システム必要性を理解されました。

bP 右側の3名 左から正井、州副知事、保健局長
    
               bQ 左から  糸賀氏、正井、副州知事、山田氏、不明、保健局長、州立病院長
6 南カリマンタン州副知事の回答とJPR会長の回答
 この時期は、イスラム教のラマダンの時期で一杯の水を飲むことなく約2時間の協議が終わり、最後に副知事から「救急
救助体制を構築することの重要性は、充分理解できた。今後、これに向け州としても予算などで努力する。

 そこでJPRがどの様に技術指導するか近い内に実際に見たい」とご挨拶があったことを受け、「11月中旬にJPRの
技術指導と救急救助のデモンストレーション訓練をお見せします」と回答し協議は終わりました。

 この協議の内容は、翌朝の「バンジャラマシン・ポスト」に掲載され、新聞も救急救助体制の構築が必要と書いていまし
た。

7 南カリマンタン州保健局視察
 協議終了後、ラマダンのため食事も摂らず州保健局長の案内で保健局を視察しました。
 ここには、災害支援用の救急車2台と支援トラック2台がありましたが、これらは災害支援用で普段は使用してないそうです。
 この救急車は普通のワゴン車にストレッチャーと酸素設備が付いているだけで、日本の救急車と比べると単にワゴン車と言うだけのものでした。
3 保健局災害支援車両とその救急車内
  

8 バンジャラマシン市長と会談
 翌日の26日は、州都であるバンジャラマシン市の市長との会談となりました。
 市長は昨日の内容を新聞記事からもJPRが11月中旬にデモ訓練を実施することをご存知で、同じ頃に州全土から消防
隊が集結する行事があるので、出来ればこれに合わせて是非デモ訓練を見せて欲しい、と依頼されました。

bS バンジャラマシン市市長、正井、糸賀氏

9 バンジャラマシン市消防隊
 市長と会談後、市役所前の広場に約30台ほどの消防車とそれぞれの隊ごとのカラフルなユニホームを着た消防隊が待機
しており、市長たちと視察しました。

 バンジャラマシン市には公設の消防隊は無く、全てこれらのボランティの消防隊が火災対応をしており、日本の消防団の
様な存在です。

 彼らの消防車は異常に古く、40年以上前の消防車から日産サニ ーのトラックに小型ポンプを積載したものまで様々で
すが、整備状況は非常に良く小型ポンプを誇らし げに消防隊員が1回で始動していました。

bT バンジャラマシン市ボランティア消防隊

  彼らは毎月10回程度出動しており、火災の規模は不明ですが相当な経験があるように感じました。
  また、彼らへの出動指令は無線を介して行われ、隊長らしき人が携帯無線を見せていました。
bU バンジャラマシン市ボランティア消防隊

10 南カリマンタン州立病院
 消防隊を視察後、州立病院の救急部を視察しました。ここには2台の救急車がありましたが、ここの救急車内の設備は保
健局の救急車よりお粗末で、ストレッチャーと酸素ボンベのみでした。

 この救急車の出動システムは、市民からの118番通報により当院に1日5回程度出動要請があり、基本的に有料とのこ
とでした。

 しかし、この出動も病院から患者宅への搬送も含まれており、交通事故などの出動は少ないようでした。
bV 州立病院の救急車

 本院と別棟にある救急部を視察しましたが、ザンビアの救急部と大差なく、設備らしきものは見当たらないため医師に尋
ねると、本院にはレントゲン設備はあるが院外から技師を呼ぶため、救急部としてはあまり使用してないそうです。

 救急部には4名の医師とその倍ほどの看護師が勤務していますが、全て内科医ということです。
bW 州立病院の医師たち 左から4名が救急部医師、右側2人は院長と本院医師

 この医師に「この救急部でどの様な設備が欲しいか?」と質問すると「ECG(心電計)やレントゲンが欲しい」と返っ
てきましたので「超音波エコーは、必要ないのですか?」との質問に「欲しいが扱ったことがない」との回答でした。

   

11 視察を終えて
 ザンビアやスリランカのゴール市を見ているため、救急救助体制が無い状況がどの様なことか概ね想像でした。
 予想と大きく違ったのは、副州知事を初め多くの関係者が救急救助体制の必要性を理解し予算立てしようとする意識。
 それとボランティアの消防隊の存在と意気込みでした。
 もちろん彼らには、JPRの活動も救急救助体制がどの様なものかも知らされてないが、防災に対する意気込みを強く感
じました。

 その証拠に彼らの消防車や資器材に対する整備の素晴らしさです。
 想像もできないほど古い車ですが、1回で始動できるなど本当に素晴らしいことで、彼らが誇るのも当然のことと思いま
した。

 今後、南カリマンタン州にどの様な組織体制で救急救助体制を構築するか、州担当者と何回も協議していくことになりま
すが、ここに日本から救急車・消防車をはじめ資器材を送っても充分大事に使ってくれ、また救急救助技術を指導しても真
摯に受け入れ、市民の多くの命を救ってくれると感じました。

 11月中旬にJPRとしてデモ訓練と救急救助指導の見本的なものを披露しますが、相当気合を入れて行く必要を感じて
おります。

 この時のJPRの訓練披露で南カリマンタン州が本腰を入れ救急救助体制の構築に着手するか決定の判断材料になると思
います。

  これは南カリマンタン州の多くの人の救命に関わるとともに、JPRの今後の活動の大きな試金石にもなると思いま
す。

日本国際救急救助技術支援会

Japan Paramedical Rescue :JPR

会 長  正 井  潔

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