救急医療ジャーナル投稿記事


播 磨  賢 JPR(日本国際救急救助技術支援会)

「救急医療ジャーナル」

第83号掲載 株式会社プラネット発行

※潟vラネットのご好意および掲載許可を得て転載しております。

また、校正していただく前の原文を記載しております。


ザンビア救急救助支援活動を終えて
 去る2006年11月21日より11月24日の間、JPRがアフリカ大陸のザンビア共和国にて救急救助の技術支援を実施しました。
 まずは、我々JPRとザンビア共和国及びその救急システムについて簡単に説明いたします。
 2003年の春にザンビア共和国で1人の日本人が救急システムを立ち上げたものの、救急救助活動に関しては具体的な技術的指導が出来ずに困窮していると神戸市消防局の正井氏の耳に入ったことから全ては始まりました。
(詳細についてはhttp://www.jpr.gr.jp/ JPRのHP「設立経緯」にて)
 正井氏の単独訪問後2005年初頭に神戸市消防局の有志が中心となりJPRが設立され、まずその年の2月に6名でザンビアに赴き第1回目の支援を行い、今回は津波被害を受けたスリランカ支援を挿みザンビアは第2回目の支援となりました。
(総勢16名、医師1名、看護師5名、救命士5名、救助隊員2名、医大生1名、一般社会人3名*注フレンド会員)
 次に、ザンビア共和国ですがアフリカの南部の内陸に位置する人口約1000万人、面積は日本の約2倍で、いわゆる世界の最貧国の一つです。
 しかし、近年そのザンビアでも交通事故が激増してきており現在の救急救助システムができるまでは、運がよければ通りすがりの車で病院に搬送されるが最悪の場合はそのまま放置され死体で発見されるというような人間の尊厳が守られてない状況であったということです。
 現在、ザンビアの首都ルサカ市(人口200人万)の救急救助システムは前記の日本人であるTICOの五十嵐氏が苦難の末築き上げたものがしっかり根付いておりアフリカ近隣諸国でも類を見ないものになってきています。
 そして、ザンビアの救急システムですがメンバーは主にボランテアにより運営されており車両及び資器材は日本で現役を退いたもので運用しています。
 今回の支援に関しては事前に五十嵐氏の情報により対象者が約60名ほどであり医師などの医療関係所も多数参加すると判明していたので受講生を3つのグループに分けることとしました。
 内訳は、医師等の指導的な立場にある方達を中心にしたAグループ、救急現場活動を実際に行っている方達のBグループ、救助担当のCグループという構成でした。
 Aグループは欧米の救急隊員が行う外傷初療のテキスト等に沿った講義と実技及
びトリアージ、Bグループは現在ザンビアの救急車で使用している資器材で行える
外傷初期初療とトリアージを、Cグループは車両よりの要救助者の救助を中心に3
日間に渡ってそれぞれ実施し、最終日の4日目には2台のバスの正面衝突に乗用車
が巻き込まれ死傷者が100人を超えるという想定でザンビアの関係機関が約20
参加するおそらくアフリカ大陸では始めてではないかと思われる大規模な集団災害
訓練を行いました。

 3日間の基本的な訓練に関しては全てのグループの参加者が積極的で順調に進みました。
 しかし、4日目の総合訓練はトリアージという意識付けの点では成功であったように思いますが、現場管理という点ではやはりまだ認識不足の点が多いと感じました。
 これは訓練参加者だけの課題でなく支援する我々の側の課題としても次回検討しなければと感じました。
 とはいえ、ザンビアでは災害対策といえば飢餓対策がまだまだ優先課題であります。
 日本では想像できませんが、例えば同じ金額をこの様な訓練に費やすより、食料をその分必要な人々に供給するほうが助かる命が多いという状況の中で、今回の集団災害訓練を行い、そして訓練終了後の関係機関の合同会議で今後も同様の訓練を継続して実施する必要性があるとザンビア政府が発表したことは一つの壁を乗り越えたと思います。
 ここに至るまでに当地で五十嵐氏が我々を迎え入れるに当たってザンビア政府及び関係機関に一人で交渉し最終的に彼らの重い腰を上げさせた情熱が一国の危機管理意識を変えたといっても過言ではありません。
 私たちがザンビアに到着するとVIP扱いで空港から宿舎まで白バイの先導を受けノンストップで行くなど日本では考えられない対応で訓練がスムーズに行くように最大の対応をしていただきました。
 紙面をお借りいたしまして心より感謝を申し上げます。
 また、今回の支援活動では、先ほどの集団災害の反省事項以外にもまだまだ我々が改善するべき点がいくつか見えてきました。
 資器材の維持管理方法も時間の関係で十分に伝えることができなかったことや、訓練の調整等を行うに当たって日本の風習、やり方ではなくその国に行けばその国の風習ややり方を十分に理解することが、お互いの信頼関係を構築する上では重要な部分だと感じた事などです。
 この様に我々JPRはまだまだ経験、会員数も少なくまさに発展途上ですが興味をお持ちの方がおられましたら是非、我々と共に活動してみませんか!
 HPへのアクセスお待ちしております。
〔2007年2月5日発行 救急医療ジャーナル 「救急救命士の声」 93ページ掲載文〕

戻る
戻る