ナゼ、軍隊を支援することになったの?



<賄賂や消火費用、救急搬送費用を求めない真の消防部隊>
  
【支援経緯】
 Brigade70 RRC711部隊
  部隊の正式名は、Royal Cambodian Armed Forces:RCAF Brigade70 Rapid Rescue Company : RRC711と言う、カンボジア国王軍(首都のプノンペンを警備)で、その中から選抜された消防専門チームの名称です。
 現在は入隊希望者も多くいます。

 カンボジア全土を対象とした災害派遣ユニットとして、JPRの正井氏がBrigade70の担当者とともに、様々な困難や障害を乗り越え2011年に設立した部隊です。

 では何故、軍隊を支援することになったのでしょう。

 2008年、カンボジアを支援する他のNPO団体から、JPRに対し救急救助について調査の依頼がありました。

 JPR理事長の正井潔氏が、6月と12月の2度に渡る調査を行い、現在カンボジアが救急の現状において抱えている深刻な現状や様々な問題点などが解りました。

 12月の先行調査で、他団体(NPO)の救急車や民間救急の調査をしている際、突然プノンペン市内に駐屯するBrigade70師団長のカンボジア軍中将から会談の要請があり、訪問することとなったのです。

 会談の中で中将は「今のカンボジアで救急システムの構築は急務であり、今すぐ市民・国民の生命を救うために行動できるのは、軍隊の衛生兵であり、救急隊の育成は急を要する」。

  また「一人でも多くの市民・国民の命を救うためにご協力願いたい」と、技術支援を要請されたのでした。

 正井氏は「私はJPRの代表として、JPRの基本理念は、一人でも多くの命を救うことであり、その理念が中将のお考えと合致していれば、出来るだけのご協力はさせて頂きます」と回答し帰国したのですが…

 やはり軍隊ということで、熟考に熟考を重ね、そして悩んだ末に「支援しよう」という結論を出したのでした。

 当時のカンボジアでは、交通事故などで負傷者した傷病者が、民間の救急隊に搬送された場合には、高額な搬送費用を請求されたり賄賂等が横行していました。

 また、搬送された病院からも多額の治療費などが請求され、まさに傷病者にとっては「踏んだり蹴ったり」と言う悲惨な状況が多く発生していました。

 火災などでも同じで、警察消防や他団体などが「水代」と称した賄賂や高額な消火費用を請求していたそうです。

 残念ながら、これらの状況は現在のカンボジアにおいても、完全には解消されていません。

 未だに何の知識も技術も、そして装備も持たない「搬送屋」(救急隊とは言えません)が勝手に契約した病院に運んだり、何の研修も訓練も受けていない者が、火災現場で消火したりしているのです。
 
【支援過程】(無償の重要性、そして数々の困難)

 先進国のように「無償の奉仕」で活動するRRC711部隊。

 日本のような消防組織の無いカンボジアでは、給料のみで活動する団体は警察や軍隊となりますが、警察消防は賄賂が横行しているため、「市民、国民の生命・身体・財産を守る組織」を新たに結成する必要がありました。

 救急活動や搬送費用、火災活動や消火費用を求めない、賄賂や費用を求めない真のプロ集団の結成。

 命の貴さを知り、使命感とプロ意識を持った消防のプロ組織を立ち上げることでした。

 それが、Brigade70 Rapid Rescue Company: RRC711部隊(災害派遣ユニット)なのです。

 JPRでは、先の技術支援(ザンビアやインドネシアなど)と同じように、消防車や消防資器材なども同時に寄贈していましたが、それを有効に使用できる技術と知識、そして安全に使用でき使いこなせるということ、メンテナンスをしっかり出来ることなどが絶対的条件であり、重要なことでした。

 それには、物品だけの支援、物を贈るだけの支援では無く、直接人から人へ伝えること「人的支援」が最も重要と考えていました。

 この時期は、インドネシアへの技術支援と同時進行でしたが、カンボジアへも2009年、2010年と約一週間程度の短期的な技術支援を続けていましたが、2011年正井氏が神戸市消防局を退職すると同時に「カンボジア長期滞在」を決意し、Brigade70 RRC711部隊をカンボジア初の救急救助、消防防災のプロ集団にしようと決心したのでした。

 正井氏は、常々「お金では買えないものがある」「自分の知識や技術を売り物にしたくない」という事で、すべて自己負担でカンボジア長期支援に望みました。

 そして、銃を筒先(消防の水が出てくる部分)に持ち替え、人々の生命と身体、財産を守るプロ集団を育成しようと、日々努力したのです。

 当初結成された隊員たちは、あまりの厳しさに殆ど残っていないそうです。

 文化や考え方の違い、様々な団体からの干渉や妨害、指導していく過程で非常に困難な事や苦労が多かったことから、何度も「辞めて帰ろうか・・・」と思ったそうです。

 しかし、1年・2年と経過し、正井氏の指導や考え方に同調した隊員が徐々に定着するようになり、現在のRRC711部隊が完成したのです。

 私たちの夢は、将来のカンボジアで、正井氏やJPR会員のから指導や支援を受けた隊員たちが、新たな指導者となり、また新たな隊員を育成すること。

 カンボジア全土に、賄賂や費用を請求しない本当のプロ、消防のプロが増えていくことなのです。

 「軍隊に指導している」ということで、多少アレルギーをお持ちの方や疑問を持たれると思いますが、現在のカンボジアで無償の奉仕で救急救助・消防防災を担っているのはRRC711部隊のみなのです。

 今では活躍する姿が、TVやインターネット・新聞など多く掲載され、プノンペン市民にも広く知れ渡っています。

 そして、なにより尊敬されているのです。

 JPRが基本理念として掲げる「ひとりでも多くの命を救う」という言葉と理念は、無償の奉仕の精神とともに、カンボジア版消防士である RRC711の隊員達に、確実に受け継がれています。
 

 <JPRカンボジア支援の経緯。文責:広報 日浦>


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